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カブとならどこにでも行ける。なんだってできる。モノクロだった少女の日常はカラーに彩られ、そして世界は広がる。「スーパーカブ」

人は相手の見た目の第一印象で、「この人はこういう人だろう」と勝手にその人を推測したり決めつけている節があったりするのではないでしょうか。しかし、実際に話をしてみて「以外に○○な人だった」と気づくことが多々あったりもします。

ちょっと昔、どこぞの本のタイトルで、「人は見た目が9割」なんてものがありました。見た目の第一印象で得したり損をしたりするわけですが、確かにファーストインプレッションが良いに越したことはありません。ただ、第一印象が良かったのに後でがっかりしたり、相手と長く付き合うと第一印象よりも実際は良い人だと感じる相手がいたりしますので、長い目で観ないと実際は接する相手の本質はわからない、という事だと思います。何も考えていない時の人の目はけっこう節穴だ、と言う事なんでしょうね。

良い意味でその節穴という自分なりのレンズを皆さんもそれぞれお持ちになっていると思います。人それぞれに好みがあるのでその”節穴レンズ”は人によって持ち合わせが違っています。このレンズで観た印象と実際の差異が大きい場合、人は感動や失望を体験します。その振り幅が大きく好印象な場面に出くわした時、その人の人生にはとても面白い1ページが加わります。

想定を超えるもの、想定外の展開に人は一喜一憂します。それを人は”ミラクル”と言ったりもします。そこまで大げさじゃない日常にある別な良い言葉だと、「ギャップ萌え」というのもあります。

「ギャップ萌え」とは、ひとりの人物に内在する、ある要素と別の要素とのギャップ(間隔、ずれ)、普段は有り得ない状況が生みだす萌えである。「意外性萌え」とも。~ニコニコ大百科より引用~

日常でこの「ギャップ萌え」を感じたり、それを見つけたりすると、何気ない日常がちょっと楽しげなものに映ったりします。今回紹介する作品は、とある女子高生がある”もの”に出会って、それがきっかけで無個性だった彼女が徐々に個性的に変化していく女子高生の日常を描いた「スーパーカブ」という「ギャップ萌え」を感じるアニメです。

このタイトルからして、”スーパーで売っていた特売品のかぶ”、もしくは”大きなかぶ”と出会って物語が進んでいくと思う方がもしや居たなら、とても素直で信じやすい、世の中でどちらかというと騙されやすい類の方かもしれません。なので、明日からの日常に”何事もまずは疑ってみる”という習慣を持ち合わせましょう。

あるいは株式売買で莫大な利益を生み出している女子高生”凄腕のスーパートレーダー”のサクセストーリーを想像する方もいるかもしれません。マンネリな日常に強い変化や刺激を求めたい夢見がちなロマンチストな方かと推測しますが、現状に満足して目の前の出来ることを一歩一歩、着実に積み重ねる”地道な努力のすばらしさ”を再認識いたしましょう。

スーパーカブ7

「スーパーカブ」とは、バイクの製造・販売メーカーHondaから出ているバイクの名称であり、この作品の主人公である天涯孤独で夢も希望も何も持ち合わせていなかった女子高生、”小熊”がHondaのsuper Cub(原付バイク)を手に入れたことによって、様々な経験を重ね、一人ぼっちの日常から脱却し、彼女なりのプチ・バラ色の生活をつかむ過程を描いた、女子高生の原付バイクLike&Lifeなアニメです(平たく言うと、好きな原付バイクのある女子高生の日常です)。

普通に女子高生が原付スクーターに乗るだけだったら何のことはないのですが、その娘が出会った原付バイクは巷でおじさんが仕事用としてよく乗られている、ホンダのスーパーカブなのです。新聞配達の方やビジネスマン、例えば銀行の営業の方などによく使われている変速ギア付きの、ガタンガタンと足でギアチェンジするあの原付バイク、と言えばお分かりになるでしょうか?なぜに、この娘はよりによっておっちゃんバイクである”スーパーカブ”を選んでしまったのか?これが一つ目のギャップです。

そして、主人公・ヒロインである女子高生は両親・兄弟(姉妹)・親戚もいない天涯孤独な一人ぼっちなのです。奨学金で細々とアパートで独り暮らしをしながら高校へ通っているという、地味で暗い感じの女子高生という設定がふたつ目のギャップです。あまりにもヒロインが地味子ちゃんなのですが、ここからどう話が広がるのか?不安しかないです。普通の家庭環境であったなら「ゆるキャン△」という、アウトドア・キャンプをとりあげた”ゆるふわ女子高生の日常”アニメと肩を並べるところですが、設定がある意味、結構ハードボイルド仕上げです。

この要素は、日常アニメでありながら、ヒロインそのものの在り方、これからのストーリーを観ていく上での視点を緊張感のある目に180度変えてしまうインパクトがあります。例えば、おじちゃんおばちゃんなら知っている昔のアニメ、「フランダースの犬」や「母を訪ねて三千里」、「小公女セーラ」などは物語の中に常に危うさという不安定要素があって、つい見入ってしまう内容でした。

「フランダースの犬」の主人公はとてもまじめで心優しい少年なのに、常に報われず、最後は仲の良いお犬様と一緒に天に召される悲しいお話しだし、「母を訪ねて三千里」は主人公が小さな子どもなのに割とハードな三千里にも及ぶ旅をさせるむちゃぶりな物語でありますし、「小公女セーラ」の主人公は大金持ちの令嬢で気品と優しさを持ち合わせた娘なのに、お父さんが亡くなって逆境に立たされ、周りに冷たくされながらも自分を見失わず、最後は父の共同経営者だった友人に出会って父の残してくれた遺産を引き継ぎ、再びプリンセスに返り咲くという、波乱万丈なお話なのです。どれも○○なのに○○というギャップのある物語です。

日常アニメでありながらも、こうした何かしらのギャップがこの作品の根底にあるとなると、主人公・ヒロインはこの先大丈夫なのか?ちゃんとやっていけるのか?と子供のことを心配する親心で物語を終始観続けてしまう、という事になってしまいます。

結果、これらの二大ギャップにおじさんはまんまと引っ掛かって、萌えてしまうのです。(笑)母性本能ならぬ父性本能?をこちょこちょっとくすぐられてしまうのですね。

ス―パ-カブ3

ママチャリ通学をしていた女子高生”小熊”は、毎日のきつい坂道の上り下りをしている最中にふと、思い立ってバイクショップに立ち寄ります。そんなところからこの物語はスタートいたします。奨学金で生活している小熊にとって、バイクとは趣味で乗ったりするものではなく、あくまで実用性の範囲で乗るべきもの。お金はないが坂道はすごくしんどい。ショップのおじさんに格安の中古バイクはないかと訪ねて紹介されたのが、「スーパーカブ」だった。

いわくつきのバイクのようだが、お金がない小熊にとっては選択の余地は1ミリもない。それを買うか買わないかのどちらかだ。彼女はそのバイクを手に入れた。実用的使用の原付バイクだが、何もなかった彼女にとってはそれは宝物に値する。おそらく、彼女にはその実用原付バイクがそのように見えていたに違いない。それによって同時に彼女の心に潤いがもたらされた。

スーパーカブに乗ることを通じて今まで知らなかった様々な体験をしたり、行動範囲が格段に広がったりと、彼女の生活は劇的に変化し始めていた。学校と家(アパート)を自転車で往復するだけの毎日だった小熊だが、バイク生活を送る上で節約もかねて、自分でオイル交換をするためにオイルや工具を買いにホームセンターへも初めて足を運んだ。もちろん、スーパーカブで。

バイク通学に変えたことで同じバイク通学の知り合いに声をかけられたりという事も。人との関わりについて消極的だった彼女だが、同じバイク乗りという仲間意識も手伝って勇気を振り絞ってその娘に挨拶したりもできた。趣味も楽しみもなく友達もいなかった彼女だが、バイクを手にしたことで様々な波及効果が次々に現れてゆく。まるでそれは、飛べなかった鳥が翼を手に入れたことによって大空を自由に飛べるようになったように、バイクが彼女の翼になった。

まったく無縁だったバイク生活。足代わりの実用バイクだったが、彼女はそれを文字通り自分の翼にしてしまい(ホンダなだけに)、様々な化学反応が彼女にもたらされることとなります。クラスでも目立つことがなく、地味にひっそりとひとりで生活していた彼女の日常がどこまで変わるのか?人間関係はどこまでつながってゆくのか?バイクによって彼女の生活圏はどこまで広がりを見せるのか?

この作品の見どころは、無関心・無個性な主人公・小熊が徐々にいろいろなものに興味を示し、一人の人間として個性を持つようになり、やがて友人あるいは仲間と呼べる存在も見つけ、その者たちと共に成長してゆくという成長過程を見届けるところにあります。人によってのターニングポイントは様々でしょうが、人との出会いばかりではなく、、何かによるものとの出会いでそれが覚醒する場合もあるのかもしれません。

小熊にとってはそのきっかけが人ではなく、スーパーカブというモノであったという事です。カブと出会って、彼女は変わることができたのです。 人生における大事な人・大事なモノというのは確かに存在するのだと思います。先ずは、そんな素敵な出会いをした少女の何気ない日常をゆったりと観ていただけたなら幸いです。

また、無個性な故に、人前では表情一つ変えない小熊がバイクを眺めている時にふと見せる、とびっきりの笑顔がたまらなく愛らしいのです。ほんとにたまにしか見せないしぐさなので、シャッターチャンスを待つが如く、どうぞその機会をお見逃しのないように!

スーパーカブ5

また、作品の作画技術の優れた点もぜひ、注目して観ていただきたいところです。季節の移り変わりに応じての背景や自然の美しさも変化していくのはもちろんですが、バイクアニメならではの、視覚による雨・風・寒さなどを実際に身をもって感じさせてくれているようなリアリティのある作画にも意識したいところです。

Honda監修による3DCG制作なので、マシンンについては各パーツの細部まで忠実にリアル再現されています。人物<背景<マシンの順により写実的に作画されているため、その作画ギャップの妙によってさらにこの作品全体のリアリティさが際立つ要因になっているのかもしれません。

この作品は、2017年5月に”角川スニーカー文庫”より刊行された”トネ・コーケン”さんのライトノベルが原作で(既刊8巻)、コミカライズで同年9月に漫画も登場し(既刊6巻)、その後テレビ化となって2021年4月~6月に”BS11”他で全国放送されました。インターネットでは、”Amazon プライム・ビデオ”・”U-NEXT”・”dアニメストア”・”abema.TV”・”ニコニコチャンネル”他で多数配信となりました。ジャンルはバイク・日常・青春です。またこの作品は、スーパーカブの総生産台数1億台突破記念として制作されたアニメ、という側面もあるらしいですね。

監督は”藤井 俊郎”さん、シリーズ構成・脚本は”根元 歳三”さん、キャラクターデザインは”今西 亨”さん、アニメーション制作は”スタジオKAI”です。制作陣はまだ他の作品をあまり手がけていない方々のようですが、この作品の全体の仕上がりは結構、良かったんじゃないかと思いますので、これからいろいろと名前を拝見していく機会が増えていかれることを期待しております。個人的にはキャラクターが「ヤマノススメ」のキャラのテイストに近い感じがして、可愛らしく好感が持てました。

声優さんは、主人公・小熊役(イラスト右)が”夜道雪”(よみちゆき)さん、友人・礼子役(イラスト左)が”七瀬 彩夏”さん、友人・椎役(イラスト真ん中)が”日岡 なつみ”さんです。日岡さんは「三ツ星カラーズ」の主人公・琴葉役の方で、ちょっとクールな小学生役を演じていました。 今回は普通に可愛らしい女の子役での登場で、3人の中では彼女が印象的でしたね。日岡さん以外のお二人は出演作がまだ少ないので、この作品をきっかけにステップアップしていってほしいですね。

スーパーカブ1

最後にせっかくなので、スーパーカブについて、少し触れておきますね。この原付バイクが誕生したのは1958年です。ホンダの創業者である”本田 宗一郎”社長と”藤澤 武夫”専務の二人が日本の未来を見据えて考案された、ロマンに満ち溢れたバイクです。日本の道路事情に耐えられる(当時の道路の舗装率は10%程度)、悪路でも乗りやすく頑丈なもの、女性でも扱いやすく馬力があって低燃費で、ギア操作も簡単な小型バイク、というたくさんの社長の想いや理想やら目標が込められた夢のバイクだったようです。

そして、ホンダは試行錯誤を繰り返し、見事それらすべて兼ね備えたバイク”Super Cub 50”を誕生させたのです。今では世界160か国で販売され、2017年に総生産台数1億台を突破し、2018年に発売60周年を迎え、”世界で一番売れたバイク”・”世界で一番優れたバイク”となりました。なんせ、バイクの売り上げ世界首位はHONDAなのですから、そうなりますよね。すごいですね。

燃費は驚きの105㎞/L(30㎞/h)ですって。丈夫で長持ちするバイクなので、価格はそこそこの236,500円だそうです。それだけのクオリティが実はあったってことですね。おっちゃんバイク、恐るべし!デス。でも、最近だとシリーズの中で女性受けしそうなちょっとおしゃれなカブも出しているようですね。

作品の中で小熊がSuper Cub 50を乗っています。友人の礼子は郵便局員さんが乗っているあの赤いバイクと同じものを改造した、ハンターカブという車種を乗りこなしています。

Cubは英語であり、熊などの猛獣の子供を意味しており、小排気量でもパワフルな性能を表しているそうです。ああ、だから主人公の名前は小熊ちゃんなのね~、腑に落ちました。主人公の小熊ちゃん、見た目は割ときゃしゃな感じですが、実際は意外と辛抱強かったり、ガッツがあったりとタフな少女です。スーパーカブにつながるように主人公のキャラ設定もきちんと整備されていたとは驚きです。

最後の最後はこの作品のオープニングテーマの紹介でお別れです。見走路をバイクで風を切って走るライダーの気持ちを体感できる、心地よい歌詞とメロディです。この曲を聴いてエアライディングをお楽しみください。偶然なのか、歌い手さんも、くまだ(あか)ね、
熊さんにまた出会ってビックリ!熊っ田、熊っ田(;^_^A

オープニングテーマ「まほうのかぜ/熊田 茜音」

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No title

『スーパーカブ』は、
ゆったりとした雰囲気でありながらも、
少しずつ前に進んでいる姿が描かれていて、
株を中心に物語が回っているのは面白かったです(´∀`)
切っ掛けというのは色々とあるものですが、
カブが繋げる絆や変化というのも斬新でしたし、
今まではモノクロだった世界が、
一気に色づいていくというのも良い演出だったと思います。
現実ではバイクに乗ることもないですが、
風を切って運転出来たら楽しそうですね(笑)

Re: ツバサさん、コメントありがとうございます。

ツバサさん、こんばんは。

異世界物やファンタジー、スポーツものや
アクション系、ラブコメ系等と比べると
いささか地味でシンプルなジャンルですが、
派手さはなくともツバサさんが言うように
少しずつの変化がゆっくりと流れていて、
面白かったですし、新鮮でしたね。

女子高生にカブは似つかわしくないかと
思いきや、実用的な使い方がいろいろと
お話に出てきて、女子高生だからとか
ではなく、そういううジャンルを好む
女子も実際にいるかもしれなと思わせて
くれる内容でした。

ラブなお話がなくても見せ方によって
楽しめるという、良い見本となる
作品だったように思います。

カブと出会ったおかげで後半は結構、
自信みなぎる小熊ちゃんに変わって
いましたね。

私も現実ではバイクを乗る機会は
今のところありませんが、ちょっとだけ
カブを操作して観たくなりましたね。

あと、郵政のカブを乗る人にすごく
目がいくようになりました(笑)

それではまた(^▽^)/

No title

申し訳なく作品を見たことはありませんが
無くなった祖父が齢70歳以上でもスーパーカブで爆走してました・・・(遠い目)

Re:元井さん 広夢さん、コメントありがとうございます。

元井さん 広夢さん、おはようございます。

作品は少女とカブのある生活の日常モノですので、天地を揺るがす
ような劇的なお話はありませんが、それなりに彼女を取り巻く起伏のある
お話が緩やかに登場しますので、割と飽きずに最後まで観ることが
出来る作品です。
会話・音楽が少な目で、映像と空気感で魅せる作品でもあります。
それなりに楽しめるアニメですので、いろんなジャンルに観飽きたら
みて観てくださいね。

おじいさん、カブ乗りでしたか。
1億総生産台数販売の中のオーナーさんだったのですね。
日本が誇る丈夫で長持ち、無双の低燃費であるスーパーマシンなので、
おじいさんは確かな目をお持ちでしたね。

私もおじいさんの暴走しているカッコいいお姿を
観てみたかったですね。
そんな素敵なエピソードを聞くことが出来て良かったです。
思い出はプライスレスです。

それではまた(^▽^)/

Re: 鍵コメ様コメントありがとございます。

こんにちは、鍵コメ様。

こちらでの生活は幸せだったんじゃないかと
思います。
鍵コメ様と家族の注がれた愛情を十二分に
受け入れて旅立ったんだと想像いたします。

そして、旅立つ代わりにかけがえのない
たくさんの思い出を残していってくれたん
じゃないでしょうか。
鍵コメさんが寂しくなったらいつでも
引き出せる幸せいっぱいな思い出を。

素敵な鍵コメ様だけの宝物ですね。

なかなか今はお辛いかと思いますが、
くれぐれもお体をご自愛ください。

鍵コメ様のブログも楽しみに
ちょくちょくお伺いいたします。
それではまた。



プロフィール

takapon46

Author:takapon46
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
マジンガーZにパイルダ~オン!ヤマトと999の主人公達と一緒に旅していたアニメ世代の私も今は40歳。嘘です。年齢だけは立派な50歳になりました、てへぺろ。40歳を過ぎた頃から再び、アニメの世界へ戻って来まして、今は専ら深夜帯アニメに夢中です。私なりに選りすぐりだと思うアニメを紹介しておりますので、良かったら覗いていって下さいね。

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