5人の勇者がこの地に舞い降り、町の未来とおのれの未来を賭けた冒険の章が今、始まる。現代版冒険活劇?「サクラクエスト」

QUEST(クエスト)”という英単語をみなさんはご存知でしょうか。ゲーム好きならすぐにピンとくるこの言葉。あまりにも有名な冒険モノのゲームソフト”ドラゴンクエスト”で、みなさんもおよそ冒険を意味する言葉だと認識できていると思います。あらためて意味を調べると「探求・追求・探しもの・冒険の旅」と、それ一つで日本語よりも広い意味合いをカバーする、カッコ良く前向きで、尚かつ奥の深い言葉だと思いませんか?

今回紹介したいアニメは、まさしくこの言葉が入った「サクラクエスト」という作品です。ファンタジーな冒険活劇アニメではありません。しかしながら、リアルな現代社会の中で、就活でこれから自分の生き方を見つけようとしている一人の女の子が、ひょんなことから自分と縁もゆかりもない田舎町に召喚され、”町おこし”という難題に立ち向かうはめになったこの物語は、ある意味、”現代版異世界冒険活劇”と言ってもあながち間違いではないかもしれません。

この作品は、アニメーション制作会社”P.A.WORKS”が手がけた、”働く女の子シリーズ”の3作目に当たるオリジナル作品です。1作目は温泉旅館で悪戦苦闘しながら自分を見つけていく女の子を描いた「花咲くいろは」で、2作目はアニメーション同好会出身の女の子がアニメ制作会社に就職し、プロのお仕事を通して自分の夢に一歩一歩進んでいくお話「SHIROBAKO」でした。

3作目のサクラクエストは、主人公の女の子が田舎町の観光大使的な”国王”として迎えられ、仲間たちと一緒に同じ目的を果たしていくという、チームワークで仕事をこなしていくお話です。現代の仕事の中でいろんなことと戦いながら勝利(成功)を目指すその姿は、タイトルから想像するにも、ゲームで言う、まさしく冒険者たちのパーティに重ね合わせることも出来ます。町にとっては彼女達の活躍は勇者そのもの、と言わんばかりの作り手たちの遊び心が感じられる楽しい作品です。この作品のジャンルは”観光”ですが、町おこしの5人組の女の子たちをはじめ、町の人々の様々な生き方を客観視出来る”群像劇”とも言えます。2017年4月~9月でBS11他で全25話が放送されました。

サクラクエスト1

主人公の”木春由乃(こはる よしの)”は、地方から東京に出てきて、普通じゃない生き方がしたい20歳の短大生。地元には帰らず東京でそのまま就職するために、現在就職活動中ではあるが、もうじき卒業間近なのに30社受けて内定は今だにゼロ。実家の母からは普通でもかまわないから地元に帰って来るように言われている。来月には短大の寮も出ないとならないし、仕送りも無くなってしまう。そんな中、由乃の携帯に1本の電話がかかってきた。以前、友達と一緒にモデルのバイトをした際に登録していた、モデル事務所・モモンガプロモーションからの仕事依頼であった。その仕事の内容とは、とある町が”町おこし”の一貫ではじめた独立王国をPRするお仕事、観光大使を勤めることである。由乃はよくある警察署の1日署長的な仕事と解釈してその仕事をとりあえず引き受けてしまう。

向かった先は自分の地元と大差のない田舎町・間野山(まのやま)。駅に着くとそこには木春由乃を歓迎する横断幕を持った一団が。由乃はその一団に挨拶をした。しかし、歓迎の割に歓迎されていない雰囲気が漂い始めていた。先方の代表である、間野山観光協会の会長”門田丑松(かどた うしまつ)”が望んでいたのは木春由乃(こはる よしの)ではなく、往年のアイドル椿由乃(つばき よしの)であった。会長のメモを頼りに観光協会の職員が椿ではなく木春と読み違えオファーをかけてしまったらしい。もうすでに観光協会からモデル事務所の方へ契約金が支払われており、契約が成立している状況。ここでも必要とされていないことを知った由乃であったが、もし、手違いであったとしても、自分を必要としてくれるのであれば仕事をさせてもらいたい、と観光協会の面々に告げる。それを聞いた会長の丑松は、由乃を採用することにし、彼女を交えて間野山のミニ独立国である”チュパカブラ王国”・新国王の戴冠式(たいかんしき)を執り行なった。戴冠式に出席した由乃は、2代目国王に就任し、無事に式は終了した。

1日国王の仕事を終えた由乃は、町の人々からねぎらいを受けた。その後、彼女は観光協会の職員の”四宮しおり”に案内され、宿泊先である寮へと向かった。部屋に入ると、自分しかその寮にはいないと思っていたのだが、先客が床に寝袋で寝ていて由乃はビックリ。新しい国王なのかと彼女に聞かれ、そういうあなたは誰なのかと由乃が尋ねると、ここの管理人みたいなものだと言う答えが。彼女が言うには国王の仕事はこれからが本番なのだと。由乃は国王の仕事は1日だけだと思っていたのだがそれは由乃の勘違いであり、契約書をよくよく見てみると観光大使の任期は1年間となっていたのである。とにかく、まだ受験した最後の企業の結果待ちの状況なのに、1年間も観光大使をやるわけにはいかない由乃は早速、東京に帰ろうと路線バスに乗り、運転手に駅に向かってほしいと無理を言う。しかし、このバスはもう車庫に戻るだけだと言われてしまう。それでも帰りたい一心の由乃は駅へと歩き始めた。どうにか駅にたどり着きはしたが、時刻表を見ると、夜10時過ぎに東京へ向かう電車はもうなかった。

サクラクエスト2

国王がいなくなったことを知った丑松会長は由乃を引き留めようと怪しい怪人・チュパカブラの衣装を着て由乃の前に現れた。怪人との遭遇にびっくりした由乃は一目散に逃げ出した。と、その先にはなぜか聖剣が刺さった岩のセットが置いてある。しかし、由乃は聖剣には目もくれずに通り過ぎてしまう。会長と一緒に由乃を引き止めに来たしおりは、会長扮するチュパカブラに襲われたふりをする。聖剣を抜いてチュパカブラを倒したら、真の国王になれるよ、としおりは由乃に叫んだ。しかし、由乃は剣は抜かずに怪人に変装した丑松会長めがけて思いっきり持っていたバッグで殴ってしまう。会長はその場に倒れ、救急車で運ばれる始末。由乃に聖剣を抜かせたら、その気になって国王の仕事を続けてくれるかも知れないという、丑松会長としおりの思惑であった。同じ若い世代の由乃がこの町に来てくれたことが嬉しかったことと、無理に引き止めて悪かったことをしおりは由乃に伝えた。そして、今日のところはとりあえず、由乃を宿泊先の寮まで送り届けるのであった。

しおりが車で去ったあとに寮に入ろうとしたが、寮は鍵がかかっていて入れない。由乃は仕方なく王宮へと向かい建物の中に入った。王宮の中の壁には王宮の10万人来場突破をお祝いするイベント写真がたくさん貼られていた。それは、かつて王宮に活気があった時代の写真であった。そこにはなんと、小さい頃の由乃が映っていた。写真の中の彼女は、10万人目の来場者として王冠を頭に載せ、王様の席に座ってニッコリと微笑んでいた。夢か現実か分からないままの、彼女が昔感じた、どこかで王様になった微かな記憶がここで繋がった。どうやら彼女は、幼い頃に家族と一緒にこの地を訪れていたのであった。翌朝、しおりが王宮を訪れると、王様の席には王様の衣装を身にまとって眠っている由乃の姿が。その光景はまさに、王様の正式な誕生を予感させる1日のはじまりだった。(第1話)

こんな1話から物語は進んでいきますが、全部で25話あります。先に話したようにこれから5人の勇者が由乃を中心に徐々に集結していきます。その5人は全て若い女の子。そして、彼女たちはあの手この手を考え行動し、廃れた町を再生しようと立ち上がります。いよいよ、彼女たちの”探しもの”・”冒険の旅”ははじまるのです。果たして彼女たちは町を救えるのか?その中で彼女たちがそれぞれに探し得るものは一体何なのか?彼女たちの目の前には倒すべき敵キャラ(難問)が幾つも登場します。町の未来を背負いながら、彼女たちは力を合わせてその敵に挑んでいきます。敵はそれだけではありません。おのれという自分とも戦わないといけません。そうです。その戦いとは同時に自分探しへの旅でもあるのです。

サクラクエスト3

この作品は5人の女の子の町おこしがメインの物語ですが、彼女達のそれぞれの生き方や、町おこしを通して触れる町の人々のいろんな想い、老若男女幅広くその町の人々の生き方がたくさん描かれています。田舎ならではのいろんな問題ごともクローズアップされています。若い人には受けないお話かもしれませんが、人生を半分生きてきた40歳以上の方々や、田舎に住む、あるいは田舎を持っている方には自分の故郷と重ね合わせて観ることが出来、共感が得られることが多い作品だと思います。若者の生き方、中年の生き方、年寄りの生き方が今までの自分の生き方ともクロスし、自分の若かりし頃、今、そしてこれからをちょっと省みる機会になるかもしれません。

またこの作品の面白いところは、制作会社であるP.A.WORKSが富山県に本社を置く地元LOVEな会社なのですが、富山県内を物語の設定にすることが割と多く、実際に富山をPRしているのかと思う作りが作品に垣間見れます。観光協会のしおりちゃんが時折「だんないよ」という富山弁らしき言葉を発するのですが、この言葉は富山弁でいう「大丈夫だよ」という方言のようです。失敗したり、落ち込んでいる人がいると必ず彼女がみんなを気遣かってこの言葉をかけてくれます。あったかい言葉ですよね。物語の中の人物にかけられる言葉ですが、いつしかこの作品を観ている私にもそう言ってくれているんじゃないか思えるくらいに結構場面場面で出て来る言葉です。そんなところも注目して観ていただけたなら作品をより楽しく微笑ましく観てもらえるんじゃないかと思います。

登場している5人はいずれも特徴があり、声優さんが巧みに演じております。主人公の由乃は世間知らずな可愛さと芯の強さを持った女の子ですが、新人の”七瀬彩夏”さんが好演しています。観光協会の四宮しおりは天然でおっとり型で癒し系ですが、”上田麗奈”さんの持っているポテンシャルがうまく引き出されています。後から登場してきます元役者の緑川真希は、時にクールで時に熱い役柄ですが、「響け!ユーフォニアム」でもクールさを魅せつけた高坂麗奈役の”安済知佳”さんが抜擢されています。IT系の知的で意識高い系のお姉さん女子・香月早苗も5人のメンバーとして登場しますが、ちょっと大人の懐の大きさを感じさせる役柄を幅広い役を実力派の人気声優”小松未可子”さんが演じています。もう一人は、引きこもりだけど好きなことにはものすごく精通している女の子・織部凛々子役を”田中ちえ美”さんが演じています。5人の個性に合わせて声優さんがうまくキャスティングされていて違和感はなくバッチリかと。

この作品を通して、人とのつながり、地域とのつながりの大切さをあらためて思い起こしてみてはいかがでしょうか。それはきっとあなただけの特別の存在だったかもしれませんよ。

オープニングテーマ(1クール目)「Morning Glory/(K)NoW_ NAME」
エンディングテーマ(1クール目)「Freesia/(K)NoW_ NAME」

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No title

町おこしというのも最近の言葉の中では、
比較的によく聞く言葉ですが、
町おこしというクエストを達成するという意味では、
本当に冒険ものと言える感じでしたね~。

田舎だからこそ変わらない良さもあり、
でも、変わらなければいけないところもある、
良さを活かしつつ、新しいものも取り入れるとなると、
それは物凄い難題ですが、
国王を始め大臣となった女の子達が、
それぞれ時には迷い、時には一歩進んで成長していく様は、
楽しくありながらどこか応援したくなる、
だから夢中になって見れるという良作でした(´∀`)
単に町おこしをするだけの作品ならここまで魅せられる事もなかったでしょうが、
そこに登場キャラクター達の魅力が重なる事で、
上手い具合に町おこし×成長譚となっていた気がします^^

Re: お帰りなさいませ、ツバサ様。

お帰りなさませ、ツバサ様。

そして、サクラクエストの部屋へようこそ。

ツバサ様は田舎がございますか?

私は田舎があります。
ツバサ様がおっしゃるように田舎の良さって
有りますよね。良い意味でしばらくぶりに帰っても
変わらぬ雰囲気がホッとした気持ちにさせてくれます。

反面、時間がどこか都会とは違って緩やかに流れていて、
時代に取り残されないかな?なんて思うことも
あったり。

新しい何かを取り入れていかないとならない問題が
その町その町に恐らくはあるんだろうと思いますが、
こういうのは、田舎を持っていないとわかりにくい
感覚かもしれませんよね。

また、年齢が比較的若い方だと田舎事情はあまり意識しては
考えてないかもしれないので、総体的にサクラクエストという
作品は都市部の若い方にはあまり評価されていないのではないか
と思いました。そのあたりが全体評価に影響していると考えられます。

決して悪い作品ではないので、田舎の方や年配の方には逆に受ける
ストーリーだと思ってその方向けにおすすめをしました。
一見、地味に映る作品ですが、登場人物たちの成長や、心の変化など
内面を表現している作品なので、そういったものが好きな人にはむしろ
たまらないアニメじゃないかと。

私は全般的に、人の内面をより深くクローズアップするP.A.WORKSの作品が
大好きです。働く女の子シリーズは3者3様でどれもが楽しく、良作だと
思います.

ツバサ様コメントありがとうございました。
また、共通のアニメで好きなものがあったらぜひ、感想を聞かせてくださいね。

 それでまた。


No title

アニメで町おこしする企画が増えて、活性化するのはいいんですけど、昨今のニュースを見てると迷惑行為に繋がらなければと思ってしまいますね・・・。

Re: ほりえ様、コメントありがとうございます

ほりえ様、こんにちは。

アニメの聖地として取り上げられ、アニメを好きな方々が訪れて迷惑行為に繋がった
ケースも有るかと思います。
これから町おこしとしてアニメを聖地として利用する自自体は、そういったケースも
調べた上で、迷惑行為を起こさせないルールもガイドラインとして作成し、
マナーを守って観光出来るような仕組みを確立していくことが望まれるのかもしれませんね。
聖地巡礼という観光も旅行者の形態の一つの形でしょうから、同じ観光者と考えれば、
そういった方にも節度をもって訪れていただくためのルールを予め提示すればそういった
残念なケースは失くしていけるのではないでしょうか。
甘い考え方かもしれませんが、そう思いました。
それを怖がってそういうチャンスを受け入れないよりは、うまくアニメのきっかけを
利用して、プラスのまちの付加価値も同時に提供して、町全体が一丸となって復活しようと
前向きに行動する必要があると思います。
おんぶにだっこじゃない、そういう姿勢がなければ一過性に終わって、ただ、迷惑行為
ばかりが印象に残る町おこしとしてイベントはフェイドアウトしていくでしょう。
アニメも広告の一手法です。
それを上手に利用出来るかどうかはその町の今後の計画性いかんによるところが
大きいと思います。アニメばかりじゃない町の魅力をどう引き出し、どう提供できる
かを真剣に考え、導入したところだけが点を線に、線を面にして成功していくのでは
ないでしょうかね。

ほりえ様、コメントありがとうございました。
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