ほんの少しの優しさと、ひとかけらの勇気があれば、誰かを守ることだってできるかもしれない。「僕だけがいない街」

ドラマや小説にミステリーやサスペンスといったものがあるように、アニメの世界にもそういったジャンル作品が存在します。私は皆さんに、できるだけ色々なジャンル作品をまんべんなくお伝えしようと思ってはおりますが、ミステリーやサスペンスは正直、自分にとっては苦手なジャンルです。好きな人はとことん好きなのでしょうが、考えながら見ると言うのはちょっと疲れてしまうので今まで避けてきました。しかし、ジャンルだけを見て、その作品を見ないと決めつけてしまうのは早急かもしれません。一つのジャンルに収まらない内容の作品もありますので、せっかくのおもしろ作品を逃してしまわないようにしたいものです。そんなミステリー・サスペンスのジャンルの中での最近の飛び抜けたおもしろ作品を一つ、今日はご紹介します。

「僕だけがいない街」という作品です。
この作品は、漫画家”三部敬(さんべけい)”さんの漫画が原作となっています。2012年7月~2016年4月までに「ヤングエース」に連載され、同時に2016年1月~3月にテレビアニメ化され、フジテレビ系列のノイタミナ枠で全国放送されました。全12話。制作会社はA-1Pictures。3月には実写版映画も公開となりました話題の作品です。

この作品は、当然、サスペンスなので何人か人が死んでしまいます。主人公、”藤沼悟(ふじぬまさとる)”はちょっとした特殊な能力を持っています。それは、”リバイバル(再上映)”と言って、1~5分程度の時間をさかのぼって同じ光景を見ることができる能力です。決まって悪いことが起こる直前にその能力は急に発動され、見たものの中には必ず、何か違和感が存在するのです。まるで悟に、それを強制的に排除しなさいと言わんばかりに唐突にそれはやってきます。悟はリバイバルの中でその悪いことを必死に探し、それを解消しようとするのです。その結果どうなるかというと、今まで幾つかのトラブルを回避出来たものの、その殆どが良くてプラスマイナスゼロになるか、悪い場合はそれによって自分がマイナスになる時もあるのです。

藤沼悟は売れない漫画家であった。作品の踏み込みが足りなく、作者の顔が見えないと漫画編集者からの評価がもっぱらで、それが人気にも作用し、未だに伸び悩む29歳。自分の心に踏み込むのが怖く、それが漫画の作品にも影響しているらしい。漫画を描くかたわら、悟はピザ屋でアルバイトをしながら生活している。そんなある日、ピザ屋の配達でバイクで出かけた矢先、突然リバイバルが訪れた。「いつものように、早く探さないとまた悪いことが起こる。」悟はすぐに違和感を探しはじめた。すると、すれ違いのトラックの運転手が運転しながら目を閉じたままで走っている状態を発見。その先には小さな子どもが横断歩道を渡ろうとしていた。悟はトラックと並走し、運転手の腕を引いてどうにか進路を変え、間一髪子供が轢かれるのを避けた。しかしその後、悟は対向車と正面衝突、病院へ搬送。気がついた時は、ベットに横たわっていた。見舞いに来てくれていたピザ屋の同僚(高校生)”片桐愛梨(かたぎりあいり)”の話では、体に大きな外傷は奇跡的になかったものの、まる2日間眠りっぱなしだったらしい。事故のトラック運転手は運転中にすでに死んでいて、子供は無事だったそうだ。

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それから間もなくして悟が病院を退院しアパートに戻ると、部屋には息子を心配して駆けつけた母の姿が。北海道から上京してきたわけだが、息子のその後の具合が心配なのでしばらくは悟のアパートに泊まって様子を見るらしい。後日、悟は母の”佐知子”と買い物に出かけた。その帰り、悟に再びリバイバルの兆候が訪れた。まわりを見渡すが、悟は違和感を見つけ出せない。思わず悟は、母にまわりを見渡しておかしいところがないかを尋ねる。何もおかしそうなところはないようだが、男と幼児が連れ添って歩いている光景を佐知子は目にする。そちらの男にも佐知子が視界に入っていた。男は車に乗って立ち去り、そこには車に乗らずに幼女が残されていた。おそらくはそれが違和感。事件が未遂に終わった匂いを佐知子は感じ取っていた。そのことを佐知子は悟に言わずに二人は帰宅した。

佐知子には、その男を何処かで見たような気持ちが沸き上がっていた。そう、それは18年前に地元の北海道で起きた3件の連続誘拐殺人事件に関係のある人物像であった。その殺人事件の被害者のうち、二人は悟の同級生の女の子だった。その事件の犯人は、悟が昔よく一緒に遊んでもらっていた近所の青年”白鳥潤”と断定され、死刑囚となっていた。悟はその当時、絶対に白鳥さんではないことを警察に話すが、子供の言うことを大人は真に受けなかった。すでに時が流れ、真犯人が仮にいたとしても事件はすでに時効を迎えていた。

佐知子はその事件を思い出し、先日見かけた男がその当時の事件の真犯人ではないかと思いはじめる。そして、昔働いていた新聞社の同僚の報道記者に連絡を取りはじめた。しかし、その思いを誰にも告げる間もなく、佐知子は何者かによってアパートで刺殺される。悟は何も知らずにアルバイト先から帰宅すると、目の前に死んでいる佐知子の姿を発見する。ちょうどそこへやってきた大家がその場を見て驚き、110番通報。駆けつけた警察は動揺している悟に話しかけようとするが、とっさに悟は犯人にされると思って逃走してしまう。「一体誰が母を・・・」、とその瞬間、悟はタイムリープしてしまう。

気が付くと、そこは18年前の小学校の校庭だった。悟の何かしらの強い思いで、かつてない時間をさかのぼってリバイバルを引き起こしたのだ。悟の体はその当時の小学生の姿だった。しかし意識は29歳の俺。悟はここからうまくやり直せば、もしかしたら母・佐知子を救うことができるかもしれないと考える。そして昔、自分が踏み込めなかったために防げなかった事件もなくすことができるかもしれないとも考え始める。そこから悟一人での運命を変える行動が始まってゆく。悟は無事にその2つの目的を果たせるのだろうか?そして誘拐連続殺人事件の真犯人と母が殺された事件とはリンクするのだろうか?悟はその時代を過ごし、手探りでそれらの糸をたぐり寄せるのであった。

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この作品が楽しめる要素はいろいろありますが、一番は単にサスペンスの犯人探しだけにとどまらずに、タイムリープという人間の憧れの領域の時間軸というものが加わった、スケールの大きな物語に仕立てあげられているところかと思います。多分にロマンを感じることができる作品であります。そして誰かを救う、守るために最後まで諦めない気持ちと行動が全面に出ているところが非常に前向きであり、私は好きです。単にタイムリープの能力があるから行動できるのではなく、それ抜きにしても根本としてのハートの優しさ・強さが大事であることが作品から伝わってきます。それによってまわりも感化されてゆくところがさらに暖かく素敵に思えるのです。そして最後にとびっきりのエピローグが待っているところがにくい演出かと。結果、この作品ってミステリー&サスペンスなの?となるわけです。それは最後までたどり着いた方のご褒美と言えるぐらいのお楽しみ感ありです。果たしてハッピーエンドが待っているのでしょうか?

余談ですが、タイムリープという言葉は日本的な独特の言い方で、「時をかける少女」で初めて使われた言葉だそうです。時間を超えて行った先々の過去や未来には、その時代の自分がそこに平行して同時に存在するというのが”タイムトラベル”であり、行った先には行った本人以外は同時に存在しないのが”タイムリープ”のようです。タイムリープで行けるのは、あくまで過去のみらしい。タイムリープをする作品には「Steins;Gete シュタインズ・ゲート」という秀逸な作品が有りますが、本作品もそれとはまた違った心に残る秀作です。ぜひ、サスペンス&ミステリーと思わずに本作品を見てください。

あっ、声優さんについてまだ書いてませんでした。
私はリアルな世界では一途ですが、こっちの世界ではたくさんの愛を見つけてしまって一人に絞れずに大変なことになっています。この作品でも好きな声優さんが一人出演いたしております。”悠木碧(あおい)”さんですが、誘拐事件に巻き込まれてしまう”雛月加代”役で出ています。悠木さんは「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の主人公・比企谷八幡(ひきがやはちまん)の妹役”小町”ちゃんで<お兄ちゃんをたてるできた妹>を可愛らしく演じております。こちらも個人的なわたくしのおすすめです。ご参考までに。とりとめのない話になった私の話が実は”ミステリー”ということで本日はここまで!

オープニングテーマ「Re:Re:/ASIAN KUNG-FU GENERATION」
エンディングテーマ「それは小さな光のような/さユり」

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